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上海ハイウェイス法律相談事例

疫病予防、制御を理由に、社員の旧正月帰省を禁止できるか

2021年2月1日

-上海ハイウェイス法律相談事例  -,

上海ハイウェイス法律事務所の法律相談事例!連載 ~第27回~

法律物語

疫病予防、制御を理由に、社員の旧正月帰省を禁止できるか

2021年の旧正月が近づいてきている。複数の地域で、コロナウィルス感染者数が再び増加している。各地の政府は相次いで「旧正月帰省自粛」を呼びかけ、多くの学校でも「原則として学校を離れることを禁止する」という通知を出された。このような背景もあり、多くの使用者は、社員の健康や旧正月連休後の仕事手配から、社員が勤務先所在地に留まることを望む。では、使用者が社員に対して「旧正月帰省禁止」を求めることはできるのだろうか?

疫病の流行が『伝染病防治法』及び地方の防疫政策における「都市封鎖」などの措置の対象要求に達している場合、企業が社員の旧正月帰省を禁止することは法規や政策の執行に該当し、不当にならない。それ以外の状況において、法定休暇をいかに利用するかは、社員の自由であり、企業に社員の旧正月帰省を阻止する権利はない。

但し、企業はなす術がないわけではなく、依然として柔軟な管理態度で社員の決定に影響を与えることができる。具体的には、以下の方法が考えられる。

第一に、休暇管理をきちんと実施すること。殆どの地区の政策では、帰省前後の一定期間の隔離について定めている。従って、7日間の旧正月連休以外に、隔離により休暇の取得が必要となった場合、社員は使用者に年次有給休暇又は私用休暇を申請するしかない。年次有給休暇の利用について、使用者は合理的に手配する権利があり、又私用休暇の申請に対して拒否する権利がある。

第二に、社員教育。使用者はコロナウィルスの関連資料やデータを整理し、旧正月大移動が社会や家族や故郷の友にもたらしうる危害を説明し、社員に「愛」と「孝」を如何に体現するべきかを考え、合理的に選択するように促す。

最後に、「旧正月帰省自粛」意欲を高めるために、出稼ぎ社員に対し「旧正月帰省自粛奨励」又は一定の日数の有給休暇を別途与える方法も考えられる。


実は、使用者が社員のプライバシーをどこまで制限できるかは終始、議論を招く問題である。それは、企業の社員に対する人事権と社員のプライバシーの権利の間にグレーゾーンが存在するからである。使用者による社員のプライバシーに対する制限が必要かつ合理的な範囲を超えると、その正当性は認められない。制限の必要性と合理性については主に企業の業務特徴、倫理文化、職場の性質などにより判断されることとなる。例えば、社員が運転手である場合、使用者による「勤務前24時間以内の飲酒を禁止する」という要求は、社員本人と乗客の安全保証が目的であるため、通常裁判所に認められる。又、企業の規則制度において、倫理が強調され、公序良俗の尊重が要求される場合は、社員の不倫又は買春などの行為に対して企業が相応の処分を下す場合は、裁判所がそれを認める可能性が高いと思われる。

実務検討

販売代理店が偽物を販売した場合は、メーカーが責任を負うか?

ネットショップ「飛〇スポーツ専売店」は有名ブランドであるHラケットの販売代理店である。その専売店は、低価格で偽物ラケットを購入し、本物に混入して販売した。Hラケットはそれに気づいた後、飛〇スポーツ専売店の販売代理権を取り消した。一部の消費者は、「Hラケットの正規代理店であるからこそ、商品を購入した。Hラケットが代理店の偽物販売行為について責任を負うべきだ。」と指摘した。

では、仮にメーカー側も被告とした場合、メーカー側に責任を負わせることはできるのか?

『民法典』、『製品品質法』、『消費者権益保護法』の規定によると、原則としてメーカーに責任を負わせる前提条件は、メーカーの製品に品質問題があることである。文頭の事案において、飛〇スポーツ専売店が販売したラケットはHラケットが製造したものではないので、Hラケットに責任を負わせる法的根拠はない。又、契約の相対性原則から、代理店と顧客との売買契約において、メーカーは当事者ではないので、責任を負うという契約上の根拠もない。よって、司法実務において、顧客がメーカーの責任を主張としても裁判所は大抵の場合、認めない。但し、侵害製品が長期に亘り、大規模的に代理店で販売されていた場合においては、個別裁判所が、メーカーが監督管理責任をおろそかにし、偽物の販売を放任したと判断し、メーカー側に責任を負わせる可能性がある。

もう一つの疑問として、販売代理店が製品を改造して販売し、顧客が当該改造後の製品を購入した後、メーカーを同時に訴えた場合は、メーカーは責任を負うべきか?

(2016)閩 08 民終 867 号案件において、東風〇社の販売・特約アフターサービス代理店である匯〇社は、東風〇社から自動車を購入した後、東風〇社製以外の部品を別途組み立て、車種表示を無断で変更し、二次代理店の鴻〇社に販売させた。張さんは改造車を購入した後、数回故障が発生し、修理後もなお問題を解決できないため、鴻〇社、匯〇社、東風〇社をまとめて被告として訴え、損害賠償を請求した。東風〇社は、メーカーであるに過ぎないため、適格被告ではないことを主張した。それに対して、裁判所は、東風〇社は契約相手方ではないが、案件に係る自動車のメーカーであり、責任の所在が明らかにされていないため、適格被告に該当すると指摘した。結局、東風〇社に連帯責任を負わせるという張さんの主張について、裁判所は、審理を経て、東風〇社は国家基準に合致する自動車を生産して匯〇社に販売しただけで、過失はないため、責任を負う必要はないと認定した。従って、偽物ではなく、改造品である場合に、メーカーが責任を負うか否かは、主に販売代理店に提供した製品が合格品であるか否かによって決まる。

ひいては、販売代理店の広告宣伝が違法である、もしくは他人の権利を侵害する場合は、メーカーは責任を負う必要があるのか?

(2020)鄂 05 行終 106 号行政訴訟事件において、販売代理店は展示即売会における違法広告により行政処分を受けた後、行政訴訟において授権側であるメーカーが違法広告の主体であることを主張した。裁判所は、「授権側は展示即売活動に対して管理支配権も持たず、販売による利益も得ていない。」ことを理由に、「違法広告の主体は販売代理店のみである」という判決を下した。

又、(2019)粤 06 民終 5818 号案件において、格力会社の販売代理店がTモールで「美的熊」という著作物を使用して宣伝・販促を行っていた。美的会社は当該販売代理店の宣伝・販促による利益帰属や格力会社が当該販売代理店の商標・商号を使用する営業活動に対する監督管理・注意義務を有すべきことなどから、格力会社が販売代理店と共同で権利侵害責任を負うべきであることを主張した。最終的に、佛山中級裁判所は、「既存証拠は、販売代理店が格力会社の製品を販売していることを証明できるが、格力会社が当該販売代理店に対して指導管理を行ったか又は当該販売代理店の売上高から利益を獲得したことを証明できず、格力会社と当該販売代理店は互いに独立した市場主体である。」と認定し、美的会社の主張を認めなかった。

以上のことから、リスク防止のために、メーカーにとって、以下の措置を取ることが考えられる。(1)メーカーと販売代理店が関連会社であるという消費者の誤解を招くことや販売代理店が偽物を販売することにより本物のブランドに不利な影響を及ぼすことを避けるために、販売代理店がブランド名をその商号として登記することを禁止する。(2)販売代理店との契約において、販売代理店の偽物販売、違法宣伝などに係る違約責任及び懲罰的措置を約定し、起こりうる不正行為を抑制する。(3)販売代理店管理制度を整備する。具体的には、部門/人員を指定して、偽物の製造・販売の有無の監督管理、係る情報・証拠の収集、不定期的な抜取検査・訪問などを行わせる。販売代理店の偽物販売又はその他の違法行為を発見した場合、直ちに販売代理権を取り消し、関連部門と協力して製品の鑑定、取調べ、捜査などを進める等。

立法動向

『企業名称登記管理規定』が改正され、2021年3月1日より施行

企業名(注:商号)は経営主体を識別する大切な要素である。経済の発展につれて、経営主体も増加し、規範化した企業名は市場・経済の秩序を維持するのに役立つ。企業登記は行政区画による管理を受けるため、有名企業の所在地以外の地域で同一又は類似の企業名を登録することにより、有名企業の商号を自社の企業名として不正登録することが可能である。

企業名を有効に規範化し、不正競争行為を取り締まるために、2020 年 12 月 14 日国務院第 118 回常務会議では改正後の『企業名称登記管理規定』(以下『新規定』という)を可決した。今回の改正に係るポイントは以下の通りである。

1、企業名登記は自主申告制に変更

従来、会社を設立するときは、企業名称事前審査確認手続きを申請しなければならず、許可を得た企業名は6か月間保留とされる。その結果、多くの名称が無駄に占用されることとなるため、当該手続きは数年前に取り消された。しかし、現行規則でも、会社設立申請書類を提出した後、多くの候補企業名が要求を満たさないという問題が依然として存在している。改正後の『新規定』によると、申請者は自主的に企業名を申告できるものの、「企業名が権利侵害にならない」ことを承諾しなければならない。上記の改正は、行政管理の重点が事前管理から中間・事後管理に変更された姿勢を示している。

2、外商投資企業名の規則

『新規定』では、外商投資企業は行政区画の名称を冠しなくてもよいという規定を削除した一方、外国投資者の商号を使用する外商独資又は株式を支配する外商投資企業の企業名称には「中国」という表現が含まれることを認めた。

3、権利侵害に対する行政処理の強化

『新規定』では、権利侵害行為に対する行政処理の規則を明確にされた。

(1)手続について、権利者は権利侵害と疑われた企業の登記主管機関に処理を請求し、登記主管機関は先に受理したものを優先し、受理後に調停する。調停しても解決できない場合は、行政裁決を下す。

(2)行政処理期間について、登記機関は受理日から3か月以内に行政裁決を下さなければならない。

又、『新規定』によると、権利者が訴訟により解決を図る場合には、権利侵害者は確定判決を受け取った30日以内に企業名称の変更登記を行う。


弁護士紹介

金燕娟 弁護士/パートナー

8年以上の日系企業での勤務経験を持ち、日系企業の文化、経営管理上の普遍的問題点などについて深い理解を持つ。業務執行においては、それぞれの会社の実情に合わせ、問題となる根本的な原因を見つけ、相応の解決策を導き出すことが得意で、顧客中心リーガルサービスの提供が出来る様、日々取り組んでいる。

その他にも、長年にわたるビジネス実務経験と弁護士業務経験を生かし複雑なビジネス交渉などにおいても特有の技能と優位性を示している。

学歴:華東政法大学出身、民商法学修士号取得。

使用言語:中国語、日本語

主な取扱分野:会社運営の日常業務。複数の業種の企業の法律顧問を長年に渡り、務め、人事、リスク管理などを含む総合的リーガルサービスを提供している。知的財産権分野。企業の法律顧問を長年務めるとともに、営業秘密、特許、商標などに関連する訴訟、非訴訟業務に従事し、特に営業秘密の管理体系及び個別案件の処理については幅広い知識と豊かな実務経験を持っている。
不正競争防止分野。主に「ブランドのタダ乗り」、虚偽宣伝を含む知的財産権に関連する不正競争案件、知的財産権侵害と不正競争との複合紛争案件を処理し、個別案件の実情に基づいた有効な解決策の提示を得意としている

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