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特集 上海ハイウェイス法律相談事例

「リストラ」方案作成時、何に注目すべきか?

2023年5月5日

上海ハイウェイス法律事務所の法律相談事例!連載 ~第54回~

法律物語

「リストラ」方案作成時、何に注目すべきか?

2023 年 1 月、バイトダンスが従業員の 10%をリストラ、2023 年 3 月、グーグル中国はリストラを開始......等、2023 年以降、様々 な「リストラ」ニュースが相次いでトレンド入りしている。

企業にとっては、主に 2 つの側面に着目すべきである。1 つ目は、ビジネス問題に関わる「リストラ」の目的と目標。2つ目は、 法的問題に関わる「リストラ」によりもたらされる法的リスクを極力抑えることである。

ビジネスの観点では、主要ポイントとなるのは主に下記の 2 点だ。

まずは、「リストラ」の目的。業績不振であるか否かを問わず、「リストラ」需要があるかもしれない。「リストラ」にはビジネスモ デル転換とコスト削減の 2 つの目的が考えられる。ビジネスモデル転換を目指す主な原因は買収合併、技術変革、業務形式の 変更で、コスト削減を目指す主な原因は、余剰員の削減、利益の向上、営業損失の削減などが含まれる。

次に、「リストラ」の目的に応じて「リストラ」の目標を確定すること。つまり、「リストラ」の対象人数と職務を第1段階として設定 する。

その上で、労働関連法令に基づいて、「リストラ」の方法と具体的な進め方を評価、確定する。

実は法律においては、「リストラ」は 2 種存在する。1つは『労働契約法』第 41 条に規定される「20 人以上または 20 人未満で、 従業員総数の 10%以上を占める経済上の事情によるリストラ。もう1つは、対象者人数が上述の規定を満たさないリストラであ る。

経済上の事情によるリストラについては、『労働契約法』第 41 条、第 42 条で適用条件、手続要求、リストラ対象者に該当しな い状況などを定められている。経済上の事情によるリストラは、煩雑なプロセス、関係者が多く集団行為を引き起こすリスク等を 伴うため、経済上の事情によるリストラを避ける目的を達成するため、一部の企業は分解法を取り、「リストラ」情報を先に流し、 一部の従業員に自主退職を促す。また一部の企業はまず人員状況を整理し、固定期間労働契約の期間満了後の更新をしな い、医療期間の満了などを分類し処理している。しかし、これらのやり方が全ての状況に当てはめることができるわけではない。 不適切に作用すれば、従業員の積極性、企業に対する信頼を損ねる可能性があり、さらに「退職させたい人が残り、退職させた くない人が退職してしまった」という状況にもつながる。

企業の目的と目標に基づいて具体的な「リストラ」の方法を選択することが望ましい。

ビジネスモデル転換を例にとると、通常「客観的状況に重大な変化が生じ、契約が履行できなくなる」という理由で進められ る。このような場合、リストラ対象者人数が『労働契約法『第 41 条に規定された経済上の事情によるリストラとなる最小人数に達 しているか否か、リストラ対象者になり得る人員の状況などを考慮した上で、『労働契約法』第 41 条に基づいて経済上の事情に よるリストラを行うか、それとも一定の分解措置を講じ、『労働契約法』第 40 条第 3 項の「労働契約締結時に依拠した客観的状況 に重大な変化が生じ、労働契約が履行できなくなったため、使用者と労働者双方が協議を行ったが、結果、労働契約内容の変更について双方合意に達しなかった」という規定に基づき、「N+1」を支払うことによって労働契約を解除するかを判断する必要 がある。

注意すべきことは、「客観的状況に重大な変化が生じ、労働契約が履行できなくなった」という状況の証明については、『若干 の条文に関する説明』第 26 条によると、「客観的状況」とは、不可抗力の発生、労働契約の全部または一部が履行できなくなっ たその他の状況(企業の移転、合併、企業資産の移転など)を指す。倒産や重大な経営不振等の客観的状況は排除される。企 業は自社の状況に応じて、相応の証拠を用意しなければならない。『労働契約法』第 40 条第 3 項に規定された「双方協議の結 果、労働契約内容の変更について合意に達しなかった」証明については、企業がどのような方法で協議するかがキーポイントと なる。実務において一般的に内部招聘の方式は認められている。もちろん企業の具体的な状況に応じて具体的な実施方案を 設計し、証拠を固める必要がある。

「リストラ」を通じて経営不振の改善を望む企業もある。このような場合、赤字になっていなければ、『労働契約法』第 41 条及び 第 40 条第 3 項に規定された方法が適用できないことは明らかである。有効な方法としては、まず利益が上がらない原因を分析 する。もし単なる不景気のせいであれば、定量化指標を設置し、労働契約期間、業績考課の結果などに基づき対象者リストをま とめる。そして対象者リスト以外で残ってもらいたい従業員と特別なコミュニケーションを図り、関心を払い、それら従業員らが自 主退職をする可能性を下げる。定量化指標に係る従業員が少ない場合は、それぞれ対処することができる。定量化指標に係る 従業員が多い場合は、適切な補償方案を与えるとよい。

要約すると、「リストラ」方案は企業のニーズと実態に応じて実施するべきであり、画一的に処理するべきものではないというこ とだ。

実務検討

一人会社が被告となった場合は株主も災禍を被るのだろうか

甲社は売買契約紛争で乙社を訴え、乙社の株主である丙社も被告に追加することを請求した。丙社の社長は、甲乙間の売買 契約紛争に、なぜ無関係な丙社も巻き込まれたのか、甲社の悪意の濫訴ではないかと困惑している。

『会社法』第 63 条には、「一人有限責任会社の株主は、会社の財産が株主自身の財産から独立していることを証明できない 場合は、会社の債務について連帯して責任を負わなければならない。」と規定している。『民事執行における当事者変更・追加の 若干問題に関する最高人民法院の規定』第 20 条には、「執行債務者である一人有限責任会社の財産が法律文書の発効によっ て確定された債務を返済するに足りず、株主が会社の財産が自分の財産から独立していることを証明できず、執行申立人が当 該株主を執行債務者に変更、追加し、当該株主会社の債務に対して連帯責任を負わせることを請求する場合、人民法院は当該 請求を認めるべきである。」と規定している。

以上の規定から、株主と会社の意思の一致を避け、債権者の利益を保護するために、一人有限責任会社は立証責任転換規 定の適用を受け、株主は、株主の財産が会社の財産から独立していることを証明しなければならない。さもなければ、株主は立 証不能による法的責任を負うということだ。

しかし、実務において下記の論点は検討に値する。

第一、提訴又は審理の段階では、本件のように原告が相手方の一人株主を共同被告として追加することについて

裁判所は直接許可し、株主財産と会社財産との独立を被告が証明できる場合にのみ、「一人株主が責任を負わない」と判決 を下す(状況 1)か、原告に被告の財産混同を証明する初歩的な証拠を提出させ、その証拠をもとに、一人の株主を共同被告として追加するか否かを判断する(状況 2)か、統一的なルールがない。既存の判決からみて、状況 1 に該当する場合が多いよう である。

第二、株主の財産独立の証明基準について

直近 5 年間の『会社法』第 63 条の規定が適用された民事案件を検索したところ、80%近くの案件において裁判所が原告の請求 を全部/一部認めている。実務において、多くの株主はその財産が会社の財産から独立していることを証明できないため、連帯 責任を負っている。しかし、株主が証明の義務を果たしたとみなされるには、どの程度の証明をする必要があるかについて、法 律上明確な規定がない。これについて、2 点のアドバイスがある。

(1)2019 年『九民紀要』における人格混同の判断基準を参照する。『九民紀要』によると、会社人格と株主人格との混同の有 無を認定する場合、最も根本的な判断基準は、会社が独立の意思と独立の財産を持っているか否か、つまり会社財産と株主財 産が混同されており、区別できないか否かである。人格混同になるか否かを認定する時は、以下の複数の要素を総合的に考慮 する。1株主が会社の資金や財産を無償で使用し、財務記載をしない場合。2株主が会社の資金で株主の債務を返済し、また は会社の資金を関連会社に無償で使用させ、財務記載をしない場合。3会社帳簿と株主帳簿を区分せず、これによって会社財 産と株主財産を区分できない場合。4株主自身の収益と会社の利益を区分せず、これによって双方の利益がはっきりしない場 合。5会社の財産が株主の名義で登記され、株主に占有・使用されている場合。6人格が混同されているその他の状況。

注意すべきことは、人格混同の判定と株主の財産独立の証明について差異があるが、本質的には共通しているという点であ る。つまり、会社が独立の意思と独立の財産を失い、これによって株主がその有限責任の範囲を超えて連帯責任を負う。従っ て、上述に挙げた行為は、株主の財産が独立しているか否かを判断する際に重要な参考になる。

(2)監査報告書の証明効力を正しく認識する

司法実務において、会社の監査報告書は、株主が財産の独立を証明するために重要な役割を果たし、株主と会社の財産が 互いに独立していることを証明するものである。しかし、個別の案件では、裁判所によって監査報告書の証明効力に対して観点 が異なる可能性はある。1 つの観点は、会社が監査報告書を提出した後に、株主が初歩的な立証を完了させ、証明責任を原告 に移す。その後、原告が被告とその一人株主との財産混同の証拠を提出できるか否か、或いは監査報告書に対して財産混同 になる問題をどのように指摘するかによって決めるというもの。2 つ目の観点は、監査報告書では会社と株主の財産が互いに独 立していることを証明できないというものである。例えば、(2020)最高法民終 727 号案件において裁判所は、「利〇会社が二審 において提供した「監査報告書」などの証拠は、会社の負債と利益の状況を反映するだけで、利〇会社と盛〇会社の財産の動 向を反映できず、利〇会社の財産が盛〇会社の財産から独立していることを証明するには十分ではない」と判断した。

第三、一人会社の該当範囲が、夫婦二人共が株主である場合にまで拡大する可能性がある。

会社法でいう一人有限責任会社とは、一人の自然人株主または一人の法人株主しかいない有限責任会社を指す。実際は株 主が夫婦二人である会社もあり、形式上、一人株主の条件を満たしていない。しかし、司法実務において、多くの裁判所は、「会 社を設立した財産は夫婦の共同財産であり、同一性を持っているため、夫婦会社は実質的に一人有限責任会社に該当する」と 判断している(典型案例は(2019)最高法民再 372 号案件)。

以上のことから、一人会社(上述の夫婦二人が株主である場合を含む)に対して、株主の連帯責任リスクを下げるために、以 下ように提案する。

1、まず『会社法』規定に厳格に従い、一人会社に対して年度監査を遅滞なく行う。受訴後に臨時発行した監査報告書は認め られない可能性が高い。次に、監査報告書の内容に瑕疵がないかに注意を払う。例えば、監査内容には「意見保留」などの表現があるか否か。また、監査報告書の証明効力を高めるために、株主と会社間の資金やり取り、関連取引に関する内容を明確か つ完全に記載する。

2、財務管理を強化し、株主が会社の資金で株主の債務を返済し、財務記載をしないなど、『九民紀要』に記載されている状況 を避ける。日常の仕事において完全な基礎財務資料を保存しておく。例えば、オリジナル証憑、会社帳簿、銀行の入出金履歴、 財務諸表など、必要に応じて財務特別監査や司法会計鑑定を申請する。

最後になったが、2021 年『会社法(改正草案)』及び 2022 年『会社法(改正草案二回審議稿)』ではいずれも、一人有限責任会 社に関する特別規定を削除された。関係企業は立法動向に留意するべきである。

立法動向

『インターネット広告管理弁法』が 2023 年 5 月 1 日より施行

2023 年 5 月 1 日より、『インターネット広告管理弁法』(以下『新弁法』という)が、2016 年 9 月 1 日より施行されていた『インタ

ーネット広告管理暫定弁法』(以下『旧弁法』という)に取って代わる。『旧弁法』と比べ、『新弁法』の変更点は以下の通りである。

1. 広告審査機関の審査を受けなければならない特殊な商品やサービスの広告(医薬品、医療機器、保健食品、特殊医学用 調整食品を総称する「三品一械」)について、「旧弁法」では、審査を経た上で配信できると定められていた。『新弁法』では、「1、 審査を受けたインターネット広告の内容を編集、つなぎ合わせ、修正してはならない。2、健康や養生知識の紹介など、形を変え た方式で、特殊な商品やサービスの広告を配信してはならない。」と 2 つの要求を新規追加した。又、健康や養生知識を紹介す る画面において、例を挙げて、特殊な商品やサービスの商品経営者やサービス提供者の住所、連絡先、ショッピングリンクなど の情報を同時に表示してはならないことを定めた。

2. 入札(オークション)ランキングに「広告」と表示することを明確に要求した。『旧弁法』では、「有料検索広告と自然検索結果 を明確に区別する」と規定しているだけだったが、『電子商取引法』では、入札(オークション/販売)ランキング広告には「広告」と 明記することを定めたことから、『新弁法』で相応の改正が加えられた。

3. 「おすすめ」(中国語「種草」といい、商品を紹介・推薦し、購買意欲を喚起するもの)類広告について詳しく規定した。『新弁 法』の規定によると、法律、行政法規により広告配信又は形を変えた広告配信を禁止する状況を除き、知識紹介、体験共有、消 費評価などを通じて商品やサービスを売り込み、ショッピングリンクなどの購入方法を付加する場合、広告配信者は「広告」と目 立つように表示しなければならない。

4. 「ポップアップ広告」をクリック1度で閉じる際の禁止行為について細分化した。『新弁法』では、1度のクリックで閉じる際に、 下記の状況が発生してはならないと定められた。①「閉じる」の表示がなく、又はカウントダウンが終わらなければ、広告を閉じる ことができない。②「閉じる」の表示が虚偽で、はっきりと識別できず、又は位置を特定しにくいなど、広告を閉じる時の障害を設 ける。③広告を閉じるには 2 回以上クリックをする必要がある。④同じウェブページ、同じファイルの閲覧中、広告を閉じた後も広 告がポップアップされ続け、ユーザーによるネットワークの正常な使用に影響を及ぼすなど。又、「全画面広告」については「ポッ プアップ広告」を参照して実行するという規定を新規追加した。

5. 「政務」インターネットソフトウェアに対する保障。『新弁法』の規定によると、政務サービスサイト、ホームページ、インターネ ットアプリ、公式アカウントなどの検索結果ページにおいてオークションランキング広告を挿入してはならない。

6. 広告ファイルの保存管理。『新弁法』の規定によると、広告に関するファイルの保存期間は、広告配信行為の終了日から 3 年を下回ってはならない。これは訴訟時効に関連する。

7. 広告責任トレーサビリティメカニズム。『新弁法』の規定によると、リンクを含むインターネット広告を配信する場合、広告 主、広告経営者、広告配信者は、次のレベルのリンクにあるフロントエンド広告に関する広告内容をチェックしなければならな い。

8. ライブ広告の責任区分。『新弁法』の規定によると、ライブハウス運営者は法に基づいて広告経営者、広告配信者の責任 と義務を負う。ライブマーケティング担当者は法に基づいて広告経営者、広告配信者の責任と義務を負う。ライブマーケティン グ担当者は法に基づいて広告キャラクターの責任と義務を負う。

弁護士紹介

金燕娟 弁護士/パートナー

8年以上の日系企業での勤務経験を持ち、日系企業の文化、経営管理上の普遍的問題点などについて深い理解を持つ。業務執行においては、それぞれの会社の実情に合わせ、問題となる根本的な原因を見つけ、相応の解決策を導き出すことが得意で、顧客中心リーガルサービスの提供が出来る様、日々取り組んでいる。

その他にも、長年にわたるビジネス実務経験と弁護士業務経験を生かし複雑なビジネス交渉などにおいても特有の技能と優位性を示している。

学歴:華東政法大学出身、民商法学修士号取得。

使用言語:中国語、日本語

主な取扱分野:会社運営の日常業務。複数の業種の企業の法律顧問を長年に渡り、務め、人事、リスク管理などを含む総合的リーガルサービスを提供している。知的財産権分野。企業の法律顧問を長年務めるとともに、営業秘密、特許、商標などに関連する訴訟、非訴訟業務に従事し、特に営業秘密の管理体系及び個別案件の処理については幅広い知識と豊かな実務経験を持っている。
不正競争防止分野。主に「ブランドのタダ乗り」、虚偽宣伝を含む知的財産権に関連する不正競争案件、知的財産権侵害と不正競争との複合紛争案件を処理し、個別案件の実情に基づいた有効な解決策の提示を得意としている

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