春は冬の間に溜め込んだ余分な脂肪や老廃物を排出するのに適した季節です。そして春に旬を迎える苦味のある食材は解毒作用があるとされています。
冬眠から目覚めた熊が熊笹を食べるように、私たち人間も春を迎えたら苦味のある旬の食材を食べて体内をすっきりきれいにしましょう。
今回ご紹介するのは春の味覚「筍」です。
薬膳では、筍は老廃物や毒素を取り除く春の食材としてよく知られています。尿の排出を促してむくみを改善するほか、食物繊維が豊富で便通をよくする作用もあります。
また、体内にこもった余分な熱を冷ましてくれる性質もありますが、逆にいうとそれは体を冷やすということ。冷え性や胃腸の弱い人は食べ過ぎないよう注意してくださいね。
さまざまな種類の筍がありますが、今回は孟宗竹の下処理とポイントをご紹介します。きちんと下処理すれば苦味(えぐみ)もなく美味しくいただけます。
慣れてしまえばそれほど手間ではありませんし、下処理さえしてやってしまえば、筍の炊き込みご飯や筍の土佐煮などもさっと作ることができます。
一般的に米ぬかを使うことが多いですが、今回は身近な米のとぎ汁で代用しました。
筍の下処理
- 筍は穂先を斜めに切り落とし、切り口から縦に皮の部分だけに切り込みを入れる。
- 鍋にたっぷりの米のとぎ汁と筍、たかの爪1本を入れ、落し蓋をして火にかける。沸騰するまでは強火、沸騰後は表面が軽くおどるくらいの火加減で茹でる。
- 根本に金串を刺し、柔らかくなったかどうかを確かめてから、水にとらずにそのままざるに上げて冷ます。
- 冷めたら、切り込んだところから指を入れて皮をむき、水でよく洗う。
- 根本のいぼをむきとり、包丁のみねで表面全体をこそげてきれいに形を整え、水にさらす。
料理のポイント
☆筍を茹でる前に穂先の皮だけに切り込みを入れる
お湯が浸透して早く茹でることができます。また、後で皮を剥きやすくなります。
☆米のとぎ汁と鷹の爪を入れて茹でる
米のとぎ汁がえぐみの元となるシュウ酸を吸着し、鷹の爪が筍の渋みをごまかしてくれます。
☆水から茹でる
米のとぎ汁にある酵素は冷たい状態の方が効果が高く、徐々に温度を上げることで酵素が働きます。
☆皮ごと茹でる
筍の皮に含まれる亜硫酸塩が筍の酸化を防ぎ、色を白く保つことができます。皮をむいて茹でると褐色に黒ずんでしまいます。
☆コトコトの火加減で約2時間
沸騰したらコトコトの火加減にして約2時間。細い金串で筍の太い部分を刺してすーっと入ればOK。
☆茹で上がった後は急冷しない
茹で上がった筍を急冷すると旨味が流れ出してしまいます。徐々に冷やすことであくが抜け、旨味を閉じ込めることができます。
方法は次の2通り。
・ザルにあげて蒸気が上がったまま自然に冷ます
・ガスの火を切って鍋のまま一晩放置
☆水にさらす
この段階では、えぐみのシュウ酸がまだ半分くらい残っています。そのため、皮をむいてから水に十分さらして水溶性のシュウ酸を溶かします。できれば一晩(8〜10時間)水にさらします。
それでは、茹でた筍を使った簡単な筍料理をご紹介します。
筍の炊き込みご飯
材料
- 米 2合
- 茹でた筍 200g
- だし汁 300g
- 酒 大さじ2
- 醤油 小さじ2
- 塩 小さじ1/3
- ネギ小口切り 適宜
作り方
米は洗ってザルに上げ、30分以上おく。
筍を適当な大きさの薄切りにする。
炊飯器に米、醤油、塩を入れ、だし汁を炊飯器の内側の2合のメモリに合わせて入れ、軽く混ぜる。(足りない場合は水を足す)
筍をのせて普通に炊く。
炊き上がったら器に盛り、小口切りにしたネギを散らす。
筍の炊き込みご飯のほかにも筍の土佐煮、若竹煮、天ぷらなど、さまざまな筍料理を楽しみながらしっかりデトックスしてくださいね。
せっかくだから中国にいるうちにぜひ試したいモノ・コト
とってもにが〜いお茶--苦丁茶
とっても苦いお茶、苦丁茶をご存知ですか?
苦丁茶は代謝促進、解毒・排毒効果が高いといわれ、中国でも美容茶、長寿茶として親しまれています。
苦いと感じるかもしれませんが、慣れるとこの苦さが意外とクセになるかもしれませんよ。
ただし、体を冷やす性質があるので、特に冷え性の方は生姜湯で入れたり、控えたりしてくださいね。
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