中国の富裕層向けメディア「胡潤百富(Hurun Report)」は、2023年7月20日に『メタバース分野で最も有望な中国企業トップ200社』を発表した。また同時に『未来のスター企業30社』も発表された。
同ランキングは2022年の発表に続き、今回で2回目となる。
2023年にランクインした企業は?
ランキングの調査対象はすべての中国企業で、民間企業と国有企業を含む。また企業の本社保在地が中国内地及び香港マカオ台湾地区の企業を対象としている。
「最も有望な企業」は評価額が10億ドル以上、「未来のスター企業」は評価額が10億ドル未満の企業とされる。
評価基準は2022年と同じで、主に下記の3つとなる。
- 企業の主要事業とメタバース基幹産業との相関性
- 企業のメタバース分野での取り組み、特に2023年6月1日時点の過去1年間のメタバース分野での取り組みの数と質
- 企業価値が10億米ドル以上
2023年のランキングでは、アリババとHUAWEIがトップ2にランクイン。続いてネットイース(網易)、テンセント、百度がトップ5に入り、トップ10にはチャイナモバイル、チャイナテレコム、京東集団、科大訊飛(iFLYTEK)、レノボがランクインした。
メタバースにおける産業分野の分布
メタバースにおける産業分野の分布を見ると、基礎技術分野の89社が最も多く、次いで生態応用分野が65社、端末産業分野が22社、プラットフォーム技術分野が15社、ネットワーク技術分野が9社となった。
主な業種別分布
主な業種別分布を見ると、メディア・エンターテインメント系の企業が最も多い33社。次いでソフトウェア・データサービス系が31社、家電メーカーが27社、電子部品メーカーが26社、半導体メーカーが20社、人工知能メーカーが18社、電子通信メーカーが15社となっている。
上場・非上場別
上場・非上場の別では、上位200社のうち、テンセントと京東を代表とする上場企業が170社、華為(HUAWEI)と小紅書(RED)に代表される非上場企業が30社となっている。
地域別
地域別では、北京、上海、深センに本社を置く企業が全体の50%近くを占める結果となった。 その中で、北京は45社と去年に引き続き最多で、次いで上海の33社、3位は深センの21社、順位を1つ上げて4位となった広州の15社、5位の杭州の13社となっている。 広東、香港、マカオのグレーターベイエリアは合計50社で、全国の25%を占めている。
未来のスター企業
特筆すべきは、企業評価額が10億ドルに満たないものの、すでにメタバース分野でかなりの事業構成や投資を行っていて、メタバース関連分野における潜在能力を秘めている企業を「未来のスター企業」として分類したということである。
2023年は、卓盛科技、巨杉数据、宸境科技、時間網絡、星河智聯、宝思派、米鏈科技、心識宇宙、科駿、五一視界、Rokid、七鑫易維、随幻科技、美踏控股、跨維智能などの30社が「未来のスター企業」に選出された。
去年のランキングとの比較
2022年のランキングと比べ、2023年の最新ランキングではメタバース関連産業がいくつか追加されたことがわかる。例えば、メモリの分野では兆易創新(603986.SH)、産業インターネットでは徐工机械、Web3.0では美亜柏科、インテリジェントカーでは蔚来汽車などが新しくリストに載り、蔚来汽車は新作のARグラスを発表している。
企業別では、昨年と比較して57社が新たにランクインしており、主に下記の2つに分類される。
- メタバースへの取り組みはあったが、昨年の企業評価額が10億ドルに満たず、HTCのように今年の目標達成に成功した企業
- これまでメタバースへの取り組みは少なかったが、格力電器のように最近になって勢いが出た企業
その他に、今年は基盤技術、生態応用、端末産業の企業の割合が上昇し、プラットフォーム技術、ネットワーク技術の企業の割合が低下したことが変化として挙げられる。その中で、2022年に比べ、基盤技術分野の企業のランキング比率が大幅に上昇した。 また、より多くの企業が基盤技術の研究開発を行い、メタバース分野の長期的発展に注力しているため、メタバースの早期着地に大きな意義がある。
もう一つのポイントは、最新リストのランキングが今年はより洗練されているのに対し、2022年のそれは少し粗いということだ。 具体的には、2022年のランキングはトップ20、トップ50、トップ100、有望企業トップ200の4段階と未来のスター企業という設定だった。
それに対し、2023年のランキングは、トップ2、トップ5、トップ10、トップ20、トップ30、トップ50、トップ100、トップ200の8段階に分かれており、「未来のスター企業」30社も含まれている。
AIGCがメタバースを加速する
近年、ChatGPTの登場により、ジェネレーティブAIは爆発的に普及した。 そして多くの専門家は、ジェネレーティブAIがメタバース発展の重要な後押しになると考えている。
胡潤百富の会長兼最高研究責任者であるルパート・フーゲワーフは、AIGC(AI-Generated Content)と統合されれば、メタバースの発展は大きく前進すると考えている。 AIGCは大規模で自律的に学習することができ、真新しいコンテンツを生成することができるため、メタバースの応用シナリオは今後より豊かになるだろうと述べている。
最近では淘宝(タオバオ)のアプリに、AIを使用してユーザーのアイコン画像生成する機能が登場した。ユーザーは自撮り写真をアップし、AIが生成するアニメ風や水彩風など7種類の画像を選択することが可能だ。
また、淘宝天猫(Tmall)ではすでに商品説明を自動生成するサービスやAIが店舗運営のパートナーとして手助けしてくれる「AIパートナープログラム」というサービスも出てきている。
小紅書(RED)では、適当に文章を入力したり落書きをすると、AIが自動で投稿用の画像を作成してくれるサービスが出てきた。
AIGCが急速に発展している今、こうしたメタ・ユニバース分野の潜在的企業は注目に値するだろう。
出典元:速看!《2023胡润中国元宇宙潜力企业榜》出炉!阿里、华为居首
ライター:タカハシヒロミ
2000年より上海在住、趣味は空手とダイビング。海水魚のブログも運営。
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