中国では日頃の挨拶で「ご飯食べた(你吃饭了吗?)」と言われることがあります。 日本人的には、毎日ちゃんと食べているのになーと思ったりもしますが、この言葉の意味 は、中医学的にはご飯を食べる事は「生きること」に直接つながると考えるので、相手を 気遣うとても優しい言葉なのです。私たちにとって健康に生きていくためには仕事よりも 食べる事が非常に大切なのです。
こんな症状ありませんか?
また、お子さんに当てはまる症状はありませんか?
□ 食べる量が減っている
□ 同じものしか食べない
□ 食べ物に興味がない
□ 甘いものだけを食べる
□ すぐにお腹がいっぱいになる
□ 食事に集中できない
食べたいけど食べられない体質は、西洋医学的には病気として治療がされません。それは基盤にあるのが体質的な問題であるため、西洋医学的でははっきりした原因がつかめず、対処方法はできますが、根本的な診療方針が立てにくいから。
しかしこうした体質の改善は、漢方治療の効果が期待できる分野です。
さらに中医学で「食欲がない」ことは常に考慮しなければならない症状としています。なぜなら、食事もお薬も口から摂取するからです。良いお薬を処方したとしても消化吸収しなければ効果も期待できません。
そこで今日は、古川先生が実際に処方して成功している「食欲不振の漢方と食生活指導」について、胃腸の働きが悪い原因やタイプ別に解説してもらいました。
あなたはどのタイプ?
□ 胃が冷えている→(A)胃寒タイプ
症状:食欲がなく、お腹も痛む。
食事の傾向:夏場に冷たい物(アイスクリームなど)をよく食べる
□ 食べ物が動かない→(B)食積タイプ
症状:食事を食べたがらない。お腹が張りやすく、オナラも臭う。
食事の傾向:甘い物を多くとり、野菜などの食物繊維をあまり摂取しない
□ 消化能力が弱く湿邪が多い→(C)脾虚湿困タイプ
症状:食が細く、便が緩い。疲れやすい。
食事の傾向:不規則な食事時間。飲酒することが多い。辛い物をよく食べる。
□ 肝胆に炎症があり湿熱が多い→(D)肝胆湿熱タイプ
症状:油っぽい食事が好きではない、脇腹がはり怒りっぽい
食事の傾向:お肉やお酒が好き。
□ ストレスが多く胃が動かない→(E)肝郁襲胃タイプ
症状:突然、食欲が低下した。ゲップが多い。問題を抱え込んでいる。
日常では:ストレスを自分ではコントロールできない。或いはストレスが限界
□ 胃の粘膜が乾いている→(F)胃陰虚タイプ
症状:食が細い、慢性的に胃腸が悪い。
食事の傾向:昔から胃腸が悪く、常に柔らかく消化にやさしい食事を選んでしまう
タイプ別:漢方と食生活の養生法
(A) 胃寒タイプ
【漢方治療のポイント】温める生薬を処方し、同時にお灸の施術を実施し改善していきます。
【食生活の養生法】冷たいものを減らし、生姜、紫蘇、シナモン、高良姜(トムヤンクン のスパイス)などを摂取してみましょう。
(B)食積タイプ
【漢方治療のポイント】胃腸を動かし消化を助ける生薬を処方し、消化を助ける腹部マッ サージや運動指導を実施し改善していきます。
【食生活の養生法】食生活では、食物繊維を徐々に増やし、胃腸の発達を手助けしましょ う。野菜の嫌いな子供は、野菜を擦り潰したカレーなどから挑戦してみてください。
(C)脾虚湿困タイプ
【漢方治療のポイント】胃腸を動かし、吸収と排泄を整理する生薬を処方。甘い食べ物を 減らす食事指導からメンタルケアも実施し改善していきます。
【食生活の養生法】まずは栄養価の高いブロッコリー、カボチャ、山芋、豆腐、鶏肉など を摂取していきましょう。
(D)肝胆湿熱タイプ
【漢方治療のポイント】胆汁を排泄する利胆作用の生薬を処方。同時に胆嚢の経絡利用し た鍼治療を実施し改善していきます。
【食生活の養生法】脂質の多い食材を減らし、苦味のある苦瓜、ごぼう、レタス、セロリ などを摂取し、胆汁の流れを改善していきましょう。とうもろこしの芯や髭などは胆嚢結 石の予防食材です。
(E)肝郁襲胃タイプ
【漢方治療のポイント】香り豊かなストレス改善する生薬を処方。同時に頭皮鍼などを身 心の緊張を和らげる治療も実施し、改善していきます。
【食生活の養生法】ストレスを緩和させる香り豊かな食材、紫蘇、ミント、セロリ、フェ ンネル、バジルなど普段から多めに摂取しましょう。
(F)胃陰虚タイプ
【漢方治療のポイント】胃腸を潤し消化道を回復する生薬を処方。またストレスをコント ロールし、清熱解毒効果の高い生薬を併用して悪性疾患の予防もしていきます。
【食生活の養生法】水溶性食物繊維(例えば百合根、オクラ、山芋、レンコン、スベリヒ ユなど)は、胃の粘膜の刺激を抑え、腸内細菌の調整にも効果が期待できるので摂取した 方が良いでしょう。また、辛い物、アルコールは炎症促進になるため、控えめにしましょ う。
医師からの一言
食べたいけど食べられない、また子供の食が細いなどの症状の他に、熱が出やすい、すぐ に風邪をひく、日頃から元気がない、体重が増えない、下痢や便秘を繰り返すといった症 状と、アトピー性皮膚炎や喘息のようなアレルギー体質も、この体質と関係していること がわかってきました。そのため、アレルギー体質の改善のためにも、食欲不振の体質改善 はとても重要になってきます。
漢方療法などの医学的な治療だけではなく、規則正しい生活で生活リズムを整え、無理の ない範囲で体を動かすことを習慣にするなど、生活面からも基礎体力の向上をはかること が大切です。
今回、ご紹介した「食欲不振の漢方と食生活指導」の診察は、当院の古川先生が実施 しています。
古川先生の診察治療は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20:00 まで受け られます。また、土曜日でも診察治療が可能なので「食欲がない・少ししか食べられ ない」「子供がご飯を食べない」などでお悩みの方は是非一度相談にいらしてください。
★保険についてのご質問や、治療期間はどのくらいかかるの?漢方薬は苦いの?
など、なんでもご質問ください!