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中国のダイビング業界を揺るがせた大ヒット映画『消失的她( Lost in the stars)』

中国では2023年6月22日から公開となった『消失的她( Lost in the stars)』は、上映から約1ヶ月の7月18日時点での興行収入が33.97億元(約669.5億円)で、中国歴代12位の大ヒット映画となっている。

根据猫眼专业版数据,7月18日,电影《消失的她》票房已经突破33.97亿元。
这意味着,该作的票房成绩已经超过《唐人街探案2》,成为了中国影史第12名。

http://www.mnw.cn/movie/huayu/2809691.html

参考までに日本の歴代興行収入トップは『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の404.3億円(*1)だ。

この映画の内容が中国のダイビング業界を大きく揺るがす事となった。

*1:http://www.kogyotsushin.com/archives/alltime/

精神疾患を患う夫と突然失踪し、また現れた妻

映画はダイビングインストラクターの夫とその妻の結婚記念日の旅行中に起きる事件が舞台となる。

結婚記念の旅行中に妻が突然失踪。夫が必死に妻の行方を探す中、突然自分が妻だという女性が現れる。 しかし、この女性は妻ではないと主張する夫。敏腕弁護士のチェン・マイが捜査に介入する中、さらなる謎が徐々に浮かび上がってくる。

夫は長期に渡るディープダイビングが原因で脳に疾患があり、イライラして妄想までするようになったという設定で、突然現れた女が自分を殺しに来ていると思い込むが、自分が水中の中で妻を殺すシーンも流れる。

夫が海中で妻を殺したのか、はたまた妻を名乗る女性が本当に妻で、夫を殺しに来たのか?

気になる結末は映画を見ていないので分からないが、大ヒットしていることには間違いない。

ダイビングが怖いものだという先入観

この映画を見た後、ダイビングが怖いものだという先入観を植え付けられ映観客たちは決して少なくはない。

7月に入ってからは、過去にオーストラリアで実際に起きたリアル版『消失的她』の事件が紹介されている記事も数件見かけた。

コロナ禍も終わりやっと自由になったこの夏。

ダイビングライセンス取得を目指していた人からキャンセルが相次ぎ、映画の影響は少なくともあると中国人ダイビングインストラクターの友人は語っていた。

2018年、中国のダイビングライセンスの取得数の年間成長率は約40%(*2)で、これは世界平均成長率の8倍の速さである。コロナ禍で失速してしまい、今もビザの制限などでコロナ流行前の水準には回復していないが、ダイビングは中国ではまだ正真正銘のブルーオーシャン産業なのだ。

近年ではマーメイドスイムやフリーダイビングが流行ってきているということもあり、ダイビングもこれからまた伸びを見せるだろうというときに、この映画の上映により悪い先入観が与えられてしまったという形だ。

*2:https://www.hellodive.com/news/1565795962.html

国際的ダイビング指導機関PADIが反論

この状態に世界最大の国際的ダイビング指導機関PADIが、Wechat公式アカウントにて映画内での矛盾点を挙げながら反論した。

  • 脚本的としての必要性は理解できるが、ダイビングが脳に影響を与えるということは同意できない。
  • ゲージに入りサメを見るツアーはあるが、星を見るツアーはない
  • 劇中で「氧气瓶(酸素ボンベ)」と言っているが、実際では窒素と酸素を混合した圧縮空気で、酸素ボンベと呼ぶダイバーはいない。日本語ではタンクまたはシリンダー、中国語では「气瓶」と呼ぶ。
  • ダイビングインストラクターの夫が卑劣なヒモ男という設定だが、実際のインストラクターたちは責任感があり尊敬できる先生と同時によき友人でもある。

これに加え、とある別の記事でダイビング愛好者が下記の内容を付け加えていた。

  • ケージダイビングはホホジロザメを観察するために冷水域で使われるだけで、映画の舞台である東南アジアにはない
  • ダイビングライセンスの試験には、水中での器材着脱も含まれるので、妻はケージから逃げたのではないか
  • ダイビングインストラクターになるには、ある程度のダイビング経験と資金が必要なので、主人公のようなギャンブルに没頭するヒモ男には、資金の余裕がない
  • 劇中にPADIのロゴが出るが、中国で登録されているPADIのショップの中に映画に出てくるようなショップは存在していない
  • 一部のダイバーが問い合わせたところ、映画制作にはPADIは関わっていないとの解答

専門機関の監修を受けていないのか、映画には事実と矛盾する点が多々あることが細かく指摘されている。

ダイビングライセンス取得時には安全管理や緊急時の対応などについて学習するし、万が一の危険は否定できないが、徹底した安全管理のもとであれば、安全に楽しめるものだ。

映画の影響がどれぐらいあったのかは具体的な数字がないので分からないが、先日上海で行われたDRTダイビング展では、前回の2021年よりも盛り上がりを見せ、コロナからの回復傾向にあると感じた。来年の開催は今年の2倍の広さで行われるとのアナウンスもあり、今後の盛り上がりを期待したい。

ライター:タカハシヒロミ
2000年より上海在住、趣味は空手とダイビング。海水魚のブログも運営。

お問い合わせ:info@kembo-net.com
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