本格的な冬に入り、上海の寒さも厳しくなってきました。しかし、急に暖かくなったりと、上 海の大陸気候は、1 日の気温の差も激しくなるので、風邪もひきやすくなります。
また、今年は日本でも上海でもインフルエンザやマイコプラズマが大流行!
風邪を引いた後も、咳や鼻水や体のだるさが続く…という方も多いのではないでしょうか?
そんな方へ、今回は、症状別に「風邪を早く治す治療方法について、特集します。
【その1】風邪を引いてしまった…
今の風邪の症状によって、対処法が変わってきます。
①熱(微熱·高熱)が出て、身体の節々が痛い場合
「熱でゾクゾク寒気がある」かぜのひきはじめには麻黄湯が効きます!
かぜのひきはじめに、“熱があるのに、なぜか寒気がする”ことがよくありますよね。こん なとき、ついつい熱があるからといって解熱剤を使いがちですが、実は漢方では逆に「カ ラダを温める漢方薬」を使って治します。
漢方では、寒気があるのは“カラダが温めたいと欲しているサイン”だと考えています。身 体を温めることによって自身の自然治癒力が高まり、身体の中に入ったウイルスや細菌が 増えるのを抑えて風邪を治していきます。なので麻黄湯はまさに、この“寒気がして発熱 があり”、身体の節々が痛むなどの、かぜのひきはじめの症状によく効くのです。
熱が出ているのに寒気が強くガタガタ震える、咳が止まらず、さらに節々が痛むなどの症 状には漢方がおすすめです。
②熱はないが、身体が冷え鼻水が多い場合
身体を温め、発汗させる生薬を処方します。例えば日本で有名な「葛根湯」も当院では処 方できるので、このような症状の風邪の場合は、比較的早い段階で服用すると、早く快方 へ向かう事ができます。漢方服用後は、暖かい布団をかぶってしっかり汗をかいて、早め に寝るようにしましょう。
③熱はないが、のどや頭が痛い場合
のどの炎症「熱邪」を抑える清熱解毒の生薬と、汗とともに「風邪」排泄する生薬を処方 します。漢方薬服用後は、辛い食べ物は控え早めに休みましょう。
④熱はないが喉や鼻が渇いて苦しい場合
身体の消耗を抑えながら「燥邪」を排泄させ、体力を補い、のどや鼻の粘膜に潤いを与え る生薬を処方します。漢方薬服用後は、こまめに水分摂取し、夜寝るときは苦しくない範 囲で、マスクをして寝ましょう。
【その 2】風邪を引いた後、咳だけが止まらない・・・
原因は?
中医学では、咳だけが長引く場合、肺に熱が溜まっているか、胃腸が悪く抵抗力がないため咳が治りにくいと考えます。また長期に抗生物質や風邪薬を服用している場合も、胃腸の調子が悪くなり咳が長引く原因になることもあります。
対処法
咳止めの生薬に加え、肺の熱を取る生薬、胃腸を調節する生薬を配合し、身体の痰を排泄 します。
辛い物、揚げ物、タバコなどは控え、消化不良になりやすいお菓子、お酒、冷えた物も控 えた方がいいでしょう。
【その3】慢性鼻炎で鼻水・くしゃみが止まらず、風邪やウィルスと間違われて困る・・・
原因は?
慢性鼻炎は、胃腸の働きが悪く虚弱体質の人、暴飲暴食により身体に熱がある人、身体が冷えて衛気(抵抗力)がない人などに多く見られる症状です。
対処法
胃腸を調節し、衛気を養う薬用人参などで体力回復を図ります。また、苦い生薬で身体の 熱毒を排泄させます。
胃腸の働きや身体の熱毒を調節するには、腸内菌の安定性が不可欠なので、できるだけ食 物繊維を摂取し善玉菌を増やしていきましょう。くしゃみや鼻水の激しい人は、梅干し、 山査子、酢の物などを毎日摂取するとよいでしょう。
【その4】妊娠中でお薬が飲めないのに、風邪を引いてしまった・・・
対処法
漢方の生薬の中には。食べ物を煎じて生薬にしている薬があるので、妊娠中でも胎児に影 響を与えない、服用できる風邪薬の生薬があります。婦人科専門の漢方医であれば、風邪 の症状により生薬を調合して風邪の症状を改善していくことができます。
また、妊娠中に風邪をひかないために、予防として香りのするハーブ(例:ミント、紫蘇 梅、カモミール、牛蒡茶、生姜など)を摂取しましょう。妊娠中は、陰虚(血虚)体質に なりやすく、身体がほてり、風邪や咳が治りにくくなることが多いようです。血を養うナ ツメ、山芋、大豆製品、ブロッコリーを摂取する事をお勧めします。
下記のような生活習慣の人は、風邪を引いたときにこじらせやすいといえます。
いくつくらい当てはまりますか?チェックしてみましょう。
□ 普段から睡眠不足で、風邪をひいても仕事があるので、あまり休めない
□ ダイエット中で、栄養バランスが欠けている
□ 風邪を引いたら、スタミナをつけようとステーキやカツ丼やウナギなどを食べる □ 寒気を感じても、厚着をせず暖を取ることはしない
□ 夏から秋に季節が変わっても、首元が大きく空いている服を着ている
□ 水分をあまりとらない
□ 最近、転勤や引っ越しがあり、生活が大きく変わった
□ とにかく、毎日が忙しい
【ドクターからの一言】
今回、ご紹介した「風邪の対処法」や「免疫力を高める漢方処方」は、当院の古川先生が 実施しています。古川先生の診察は、黄浦クリニックと虹梅路クリニックで、夜 20: 00 まで受けられます。土曜日も診察可能ですので、長引く風邪症状困っている方は、こ の機会にぜひ、お問い合わせください。
★保険についてのご質問や、治療期間はどのくらいかかるの?漢方薬は苦いの?
など、なんでもご質問ください!