中国4千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理」シリーズ第十七弾!
9月の薬膳レシピは、喉や肌の乾燥予防の「肺を潤す薬膳」がテーマです。
「薬膳」と聞くととてもハードルが高いイメージがありますが、季節や体質・体調を考慮 して、ふだんからの食材の特性を組み合わせることも、立派な「薬膳」です。
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、
いつもの食材が「薬膳」に!
さあ、「肺を潤す食材」を使って、「乾燥」対策をしましょう!
~喉と肌の乾燥に~
すりおろし梨の豚生姜焼き
肉を柔らかくするために、梨のすりおろしを使った1品。梨のプロテアーゼという酵素が 肉のタンパク質を分解するため、肉を柔らかくさせます。また、肺を潤し、乾燥から身体 を守ってくれる効果も期待できる和風薬膳料理です。
調理時間 20分
【材料】 2人前
・豚の薄切り........................200g
・梨....................................1/2 個
(調味料 A)
・生姜(みじん切り)............大さじ 2
・醤油.................................大さじ 2
・みりん..............................小さじ 2
・ハチミツ...........................小さじ1
・オリーブオイル..................大さじ1
【作り方】
1) 梨は皮を剥き、芯をとってすりおろします。
2) ボウルにすりおろした梨と調味料 A の材料をすべて入れて混ぜておきます。
3)トレイに豚の薄切りを入れ、2をかけて全体にまんべんなくつけて15分ほどおき ます。
4)フライパンにオリーブオイルをひいて、3の肉を加えて両面焼きます。
5) 出来上がり!
古川先生による「潤肺」の薬膳食材講座
今回、レシピ監修をされた古川先生に、「乾燥対策に効果的な」食材を教えてもらいまし た。
これから紹介する食材は、今回紹介した「すりおろし梨の豚の生姜焼き」の中にも入って いるので、是非、作ってみてくださいね。
梨
秋になり乾燥した空気が流れる季節に、乾いた咳が治らない人が増えてきます。そんな時 にお勧めな食材が「梨」。梨には生津潤燥(せいしんじゅんそう)といって、唾液の生成 を促進して、乾燥した身体をうるおす働きがあるからです。また、梨は五性では「寒性」 で、水分が多いので、身体にこもった熱を収めながら、うるおしてくれます。風邪、発熱、 多汗の後、口が乾いた時に梨の汁を飲むと身体が鎮静され落ち着きます。ただし吐き気や 下痢をしやすい人は、少量から摂取しましょう。
豚肉
豚肉を食べると胃腸を潤し、皮膚の潤いが増し、滋養強壮に優れているとされています。残業やスポーツ後の疲労時にはビタミン B 類が豊富な豚肉を摂取することで回復が早まる 事があります。
秋になり、なにかと身体が乾燥する季節には、豚肉がおすすめ。ただし、吹き出物や胆嚢 が弱っている方は、脂身を減らし赤身だけを摂取するようにしましょう。
生姜
夏から秋にかけて突然冷たい風が吹き、鼻水が出たり、お腹が冷えて痛くなった時などは、 発汗、胃腸を温める作用がある「生姜湯」がお勧め。生の生姜は辛味があるため。胃に刺 激を感じる場合には、蜂蜜を加えるとマイルドになります。また、お寿司などの生魚を食 べる時には、お腹が冷えやすいので、付け合わせの「酢漬けの生姜(ガリ)」は一緒に食 するようにしましょう。
ハチミツ
秋になると、鼻炎の人は特に「乾燥した空気」に過敏に反応しやすく、空咳、皮膚の乾燥、 便秘など症状が出やすくなります。そんな時は、夜に「ハチミツ湯」がお勧めです。口腔内の雑菌を減らしたり、肺や大腸を潤してくれるため効果的です。
古川先生からの一言
上海も台風が過ぎた直後から、少しずつ秋めいてきます。この時期の朝、目覚めて起きが けに「あれれ、なんか喉がヘンだな?」と感じた方はいらっしゃいませんか?
陰陽五行での秋の五臓は「肺」、五悪は「燥」になります。肺は肝・腎・脾・肺・腎とい った五臓の中で唯一、呼吸によって外気に触れる臓器。
したがって、夏の陽気から空気が乾燥してくるのをいち早く察知して、喉や肺に燥邪が忍 び寄ってくるのを知らせてくれます。「あれれ、喉がちょっとヘン?」と思ったのは、ま さに燥邪のサイン。
これをほっておくと、風邪をひいたり、肌あれを起こしたり、アレルギー性皮膚炎などが 悪化することもあります。
秋の食養生は燥邪から身体を守るため、とにもかくにも、“うるおすこと”がポイントです。
他にも肺を潤す野菜でれんこん、おくら、やまいも、ゆり根などもおすすめです。秋はこ れらの食材を積極的に摂取して、「肺」を守る養生をこころがけ、来るべき冬に備えまし ょう!
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