中国四千年の「中医学(漢方医学)」の理論をベースに、中医学ドクターが季節に応じた 薬膳料理レシピをお伝えする「カンタン!薬膳料理シリーズ」第十六弾!
8月の薬膳レシピは、皮膚をキレイにする「肺をデトックスする薬膳」がテーマです。
その前に・・・。
実は、子供の「水いぼ」は漢方で治るんです!
水イボ」は、正式名を伝染性軟属腫と言ってウイルス感染の一種です。
乳幼児や子供に多くかかる感染症で、抗体を持っている年長児や大人には罹りません。
イボをひっかいて潰したりすると、水イボの内容物が皮膚に飛び散って、付着した部分に 広がっていきます。
外科的にピンセットを使ってつまんでとったり、液体窒素でイボを凍結させたりする方法 がありますが、この方法は痛みも伴いますし、皮膚を傷つけるため、二次性の皮膚の感染 (とびひなど)のリスクもあります。
漢方では、水イボの治療に、ハトムギの殻をむいた種(薏苡仁:ヨクイニン)を使います。 乳幼児の水いぼに限っては、効果は90%以上という文献報告があるくらい良く効きます。 この(薏苡仁:ヨクイニン)という漢方薬を1~3ヶ月ほど続けて飲んでいると、水イボ の付け根の皮膚が赤みを帯びてきて、枯れるように小さくなり、自然に落ちてしまいます。
ヨクイニン(イメージ)
もともと(薏苡仁:ヨクイニン)は食用として雑穀米に入れて炊いたり、センベイにした りするもので、苦くないので、乳幼児でも簡単に飲むことができます。
★ヨクイニンには膿の排出を促す働きもあるため、水イボの治りをよくするとされていま す。
★大人には、肌荒れ対策の漢方としても利用されます。ヨクイニンには、からだの滞りを 改善し水分や老廃物を外に出し、からだにこもった熱を取り除く働きがあるので、肌のタ ーンオーバーを整えます。また、粘膜や皮膚などを正常な状態に保つビタミン B 群を多く含みます。
・・・・・水イボの治療は、私に任せください!・・・・・・・
子供の水いぼ対策!お母さんの美肌に!
「ヨクイニンの冷製ぜんざい」レシピ
難しい材料を使わず、普段の食材の組み合わせを工夫するだけで、いつも食材が「薬膳」 に!今回の薬膳レシピは、この薏苡仁(ヨクイニン)を使った、薬膳スイーツです。
【材料】 2人分
薏苡仁(ヨクイニン)・・・大さじ 2
小豆・・・大さじ 2
バナナ・・・ 2 本
キウイ・・・適量
黒糖(もしくはハチミツ)・・・大さじ 4
塩・・・ひとつまみ
【下ごしらえ】
★薏苡仁(ヨクイニン)は流水で洗って一晩、水につけて戻しておきます。
★小豆も同様に水に一晩つけておきます。
【作り方】
1) 昨晩水に漬けておいた薏苡仁(ヨクイニン)に、浸るくらい水を足して、15から 20 分くらい茹でます。茹で汁は利用するので残しておきます。
①茹で上がりの目安は、少し歯ごたえがあるくらいでも、柔らかくしっかりと茹で てもどちらでも大丈夫です。
②茹でている途中で水が足りなくなったら、お湯をカップ 1 杯づつ足して調整して ください。
2) 小豆も同様に 30 分くらい茹でます。茹でるときは上記の(2)を参考にお湯を足しながら 茹でます。
3)あずきの豆を指でつまんで柔らかくなったら塩ひとつまみと、黒糖(もしくはハチミ ツ)で甘みをつける。(あまり甘くないほうが良ければ、黒糖は少なめでも OK。甘さは 調節してください)
4)器にカットしたバナナ、茹でた小豆と茹で汁(適量)、茹でた薏苡仁(ヨクイニン)と 茹で汁(適量)の順に入れ、上からキウイの角切りをかけ、盛り付けて出来上がり! ※甘さが足りない場合は、全体にハチミツをからめてください。
古川先生による「デトックス効果」薬膳食材講座
<薏苡仁(ヨクイニン)>
体の余分な水分を排泄し、痛みをとる作用、清熱排膿(熱をとり膿を排出する)作用があることから、熱感を伴う関節痛や筋肉痛、神経痛などに用いられ、ヨクイニン単独の生薬 は、主にイボなどの皮膚のトラブルに用いられます。またむくみを解消したり、肌荒れを 治し美白・美肌効果があるとされていますが、体を冷やす効果があるため、妊婦さんや冷 え性の方は飲みすぎに注意しましょう。
<あずき>
解毒作用・消炎作用・排膿作用があるため、皮膚の炎症・化膿やただれ、乳腺炎などに対 してほかの生薬と配合し使用する生薬です。また、アズキには利尿作用があるので、浮腫 みの改善にも有効的です。これらの強い解毒作用と利尿作用のため、小豆はアルコールを 速やかに体外に排出してくれるので、二日酔い対策にも適しています。ただ、便秘の人は食べ 過ぎに注意が必要です。
ドクターからの一言
連日、40 度近くなる猛暑が続き「夏バテ」になっていませんか?
この時期、多くの人が陥りやすいのが「気陰両虚」の状態です。夏は、暑さのため、毎日 たくさん汗をかきます。汗をかいた体内は、体の液体である陰液(血と津液)が消耗し、 口が渇く、便秘、不眠といった症状が出やすい状態になります。さらに、暑さによる疲れ や、湿気による脾の低下によって、生命活動に欠かせない「気」も消耗。放っておけば、 病気に対する抵抗力が低下し、秋に風邪をひきやすくなったり、肌の乾燥に悩まされたり する恐れがあるので要注意。
この時期に必要なのは、不足しがちな「気」と「陰」をしっかり補うことです! 頼れる 食材は、漢方生薬では「山薬(さんやく)」と呼ばれる「山芋」です。
山芋で特筆すべきは、気と陰(液)の両方を補う力があることです。夏バテの体に不足し ている2つの要素を同時に補えるのは、山芋ならではの力! だから、乾燥してパワーダ ウンした今の体には、特におすすめです。さらに、山芋は、消化に関わる脾、体のバリア機能につながる肺、老化に関わりのある腎の3つを強化してくれるという頼もしい特徴もあります。おなかが弱く下痢しやすい人、空咳の出る人、加齢による頻尿やほてりの症状 のケアにも役立ちます。
さぁ。今この暑い時期に「山芋」を食事に取り入れて、猛暑の上海を乗り切りましょう!
★夏バテで気力がない、夜寝苦しいなどの症状がある人は・・・
★保険についてのご質問や、どの先生に診てもらえばいいどの?漢方薬は苦い の?など、なんでもご質問ください!