
1月27日に発表された中国文化旅行部データセンターの試算によると、2023年春節休暇中の国内旅行は全国で3億800万人回、前年同期比23.1%増となり、2019年同期比88.6%に回復した。
また、中国国内の観光収入は3758億4300万元を達成し、前年同期比30%増、2019年同期比73.1%まで回復する結果となった。
春節の中国国内・海外旅行の受注は3年ぶりにピークを迎え、2019年同期と比較して国内航空券予約は129%、バスチケット予約は230%、鉄道チケット予約は18%増加、国内ホテルの宿泊予約数も過去最高を記録している。
筆者は春節期間中上海から出ていないが、周りの人々は中国国内旅行を楽しんだようだ。コロナ流行後、行動制限がない初めての春節のため中には3年ぶりに日本に一時帰国した人もいるようだ。
国内はニッチな都市にスポットが
日本のテレビニュースでも報道されていたが、中国のハワイと称される海南島に多くの人が訪れ、海は芋洗い状態、免税店はレジ待ちに長蛇の列で、車の渋滞がひどかったようだ。
2023年は海南省三亜市などの人気観光都市に加え、洛陽などのニッチな都市が人気となった。同程旅行のデータによると、今年の春節は洛陽、開封、佛山、恵州のホテル予約が前年同期比で10倍以上増加。洛陽に至っては、下の画像にある通り増加率が2,335%にも上った。
下記の画像の中段は2023年春節ホテル予約人気都市、下段は2023年春節のダークホース目的地となっている。

あまりもの賑わいのため、春節二日目から西安城壁、大唐浮遊城、霊隠寺などの景勝地では、観光客の流入を制限する通達が出された程だ。
春節期間中の国内観光地の入場チケット予約も3年ぶりの高水準となり、 中でも主要観光地は前年同期比3.2倍に。 大都市に加え、西安、蘇州、揚州、洛陽、開封など文化観光資源が豊富な古都が景勝地人気ランキングのトップ10にランクインしている。
長距離移動の割合が高い
過去3年間は地元や周辺地域の予約で占められていた春節休暇のトレンドが、今年は逆転する結果となった。
春節期間中、Ctripでは省をまたぐホテル予約が全体の70%近くを占め、2019年の春節予約を上回った。 移動日数、移動距離ともに増加する傾向がより顕著で、途牛旅游のデータによると、旅行日数では48%が4〜6日の旅行を選び、20%以上が7日以上の旅行を選んでいる。
去哪儿は、春節期間に旅行者がより遠くへ移動するという興味深いデータを示している。平均移動半径は2022年比で50%以上増加。旅行者一人あたりの移動距離は昨年比で平均400km増加。東京大阪間の直線距離が約400kmとなるので、その分伸びたことになる。

海外は東南アジアが人気
1月20日、文化旅行部は試験的に海外団体旅行について再開の通達を出した。春節前のタイミングで団体海外旅行が解禁されたことで、観光客の選択肢も増えることとなった。
同程旅行のデータによると、2023年の春節期間中、海外航空券予約は前年比258%増、海外ホテル予約も前年比177%増となった。 また、Ctripのデータでは、春節期間中の海外旅行受注は全体で前年比640%増加、中国本土からの海外ホテルの予約数は前年比4倍以上、海外航空券の受注数は4倍以上増加したという。
海外旅行では中国人に対してアライバルビザを発行していて隔離措置がない東南アジアの国々が人気となった。Ctripのデータによると、春節期間中の海外航空券の受注は、下記の画像の通りバリ島が前年比30倍、シンガポールが8倍以上、マニラが5倍以上、バンコクとプーケットが4倍以上、チェンマイとクアラルンプールが3倍近く増加する結果となった。

春節期間の東南アジアへの旅行費用は、中国国内の人気都市への旅行費用と同等かそれを下回っている。そのため、少なからず東南アジアへの旅行者もいたようだ。
今後、国際線が徐々に増加し、国内外での旅行の利便性が高まれば、2023年の5月の労働節連休までに、旅行市場が大きく動くと予想される。
今のところ日本では中国本土への渡航歴がある旅行者や中国本土から直行便で訪れる旅行者に対し、到着時検査を実施している。また、直行便の本数が少ないので値段が高く、中国人に対して一般的な観光ビザを発行していない。そのため、中国から観光目的で日本に気軽に行けるようになるには、もう少し時間がかかりそうだ。

ライター:タカハシヒロミ
2000年より上海在住、趣味は空手とダイビング。海水魚のブログも運営。
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