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上海ハイウェイス法律相談事例

市販商品に自社のロゴを貼り付けて、顧客に贈呈するのは違法になるか?

2021年9月2日

上海ハイウェイス法律事務所の法律相談事例!連載 ~第34回~

法律物語

「従業員シェア」、「プラットフォーム労働」とは

近年、「従業員シェア」、「プラットフォーム労働」が流行しており、報道でもしばしば見られ、通常雇用コスト低減などに関わる話題となる。しかし、「従業員シェア」、「プラットフォーム労働」は、いったいどのような雇用形態であるのだろうか、一般雇用との違いは何だろうか、更にどのようなリスクが潜んでいるかなどについて十分な知識を持っていない企業も多いようである。

まずは、「従業員シェア」について話をしよう。2020 年の年初、コロナの影響を受け、大部分の企業は操業停止となり、特に飲食、観光業界はいつ再開できるのか見通しがつかない状態になった一方、防疫用品の生産、物流などに携わる企業は人手不足が問題となっていた。この背景から、「従業員シェア」という雇用形態が現れた。具体的に言えば、人員過剰になった企業から、人手不足の企業へ労働者を一時的に異動させて、そこで勤務をさせる。受け皿となる企業は元の賃金基準に従い賃金、社会保険などの雇用コストを負担し、雇用企業はこれによって別途費用を徴収してはならない。2020 年 9 月 30 日、『従業員シェアへの指導とサービスを進めることに関する人力資源・社会保障部弁公庁の通知 (人社庁発〔2020〕98 号)により、「従業員シェア」に係る労働関係、社会保険、労働災害、労働紛争などに対して手引となる規定が定められ、「従業員シェア」の政策上の根拠となっている。

従って、「従業員シェア」の実質は、労働関係を変更せずに、雇用企業が過剰な労働者を他の企業へ一時的に異動させ、関連コストを負担してもらう一時的な雇用形態である。コロナ終息後、閑散期や繁忙期がある企業は上述の政策に従い、類似の他社と業務提携を行うこともできる。

もう一つの「プラットフォーム労働」は、出前プラットフォームから生じた柔軟な「雇用形態」である。出前プラットフォームは主にアウトソーシング、区域加盟、プラットフォームでの仲介サービスに係る。アウトソーシングと区域加盟について、プラットフォームの所有者はアウトソーシング又は加盟を行う企業と業務提携協議書を結ぶため、労働者がアウトソーシング又は加盟を行う企業と労働契約を締結する。一方、プラットフォームでの仲介サービスについては、消費者と配送員が取引当事者となる。配送員は出前プラットフォームの所有者と労働契約を締結せず、個人の名義でプラットフォームにより「任務」を引き受け、任務完遂を前提として固定報酬又は歩合を獲得するので、実質的にサービスのアウトソーシングに該当する。実務において、オンラインプラットフォーム上の教師やツイキャスなど新業態の登場が「プラットフォーム労働」の発展を拡大させた。

国家発展改革委員会は 2020 年 7 月 14 日に『新業態・新パッターンの健康な発展を支持し、消費市場を起動し、就業拡大を促進することに関する意見』(発改高技〔2020〕1157 号)を公布し、「オンラインプラットフォームのアウトソーシングにより自主就業・副業革新を奨励する」ことを明確にした。これが「プラットフォーム労働」の政策上の根拠となっている。

通常、個人所得税の節税のため、又は労働関係と認定されないように、サービスを提供する個人に対して個人商工業者として登記登録を行うよう要求するプラットフォームは少なくない。

「プラットフォーム労働」の特徴の一つは、個人(特に個人商工業者として登記登録を行った者)とプラットフォーム経由でサービスを受ける者との間に労働関係がないことである。そのため、実務において、雇用コストを低減する、又は関連リスクを回避するために、従業員との労働契約を解除したり、雇用しようとした新入社員に対して、個人商工業者として登記登録を行い、プラットフォーム経由で企業からの任務を引き受けさせる企業も多く見られる。但し、注意すべきことは、双方間に人事管理関係が存在し、従業員が企業の規則制度を遵守し、相応の福利待遇を取得していることを証明できる証拠がある場合は、事実上の労働関係が存在すると認定される可能性が高い点だ。

実務検討

市販商品に自社のロゴを貼り付けて、顧客に贈呈するのは違法になるか?

M 社は創立 20 周年記念式典を開催を予定しており、社内での話し合いにより企画部が、水筒を購入し、M 社のロゴをつけて記念品として顧客及び提携先に贈呈することを提案した。法的リスクの回避を考慮し、当該提案に疑問を抱く者もいる。

通常、商品の外観表示は主に 3 つの役割を果たす。1商標又は意匠により商品の出所を区分する。2消費者による製造物責任の追及を可能にする。3公平な競争及び消費者の知る権利を保護する。

従って、市販商品に自社ロゴ又は商標(以下「ロゴ」と総称する)を付けて贈呈又は販売する場合の法的リスクは、主に以下の点である。

第一に、自社ロゴの使用が適法であるか否か。自社の登録商標を市販商品につける場合は、2 つのリスクを考慮すべきである。(1)登録商標につき商品/サービスの指定範囲が決まっている。登録商標が当該商品をカバーしていない場合は、市場監督管理部門に「登録商標の使用が規範に従っていない」と認定される可能性がある。(2)企業が登録登記を行うときに、経営範囲が確定的でなければならない。市販商品の生産又は販売を行うには相応の資格を具備しなければならないという前提下で、当該市販商品の包装に自社ロゴをつけることによって「当該商品はロゴ権利者が生産又は販売したものである」と消費者の誤解を招く場合は、違法経営と認定される。

第二に、製品品質責任が生じるか否か。『製品品質法』第 27 条第 2 項には、「製品又はその包装上の表示は必ず真実で、中国語で明記された製品名称、生産工場名称及び工場住所を有する。」と規定している。製品の表示により、製品品質責任を負う生産者の名称と住所が示されるので、不適切な方法により自社ロゴを他社の製品に貼り付ける行為は、第三者の混乱を招き、ロゴ権利者を製品の生産者又は販売者と誤認する可能性があり、品質責任紛争が起こったときに、ロゴ権利者が責任を追及される。

第三に、他人の商標専用権を侵害したことによって商品/サービスの出所が混同される、又は「関連性がある」と第三者の誤解を招くか否か。『商標法』第57条第5項の規定によると、商標登録者の許諾を得ずに、その登録商標を変更し、変更後の商標を使用した商品を市場に投入する場合は、登録商標専用権の侵害となる。例えば、会場内での飲み物を提供するつもりで飲料水を購入した後、商品広告と看做されることを避けるため、又、自社のロゴを宣伝するために、それらの飲み物の包装を外し、自社ロゴを貼り付け、会場内で配布した場合は、当該飲料水の生産者の商標権を侵害する可能性がある。一歩譲って、仮にそれらの飲み物の包装を外さずに自社ロゴを直接貼り付ける、つまり、二つの表示を同一製品の外観に共存させる場合は、表示のサイズ、内容、位置などによって、『不正競争防止法』第6条第4項の「他人の商品である、又は他人と特定の関連性があるという誤認を生じさせるその他の混同行為」にあたる可能性が高い。注意すべきことは主に2つの理由の理由から景品とするかを問わず、関連リスクがあることには特に変わりない。①判決では、通常、裁判所は「景品と販売行為は密接な関係があり、実質的に有償売買の関係にある。」と認定される(2018)粤03民初352号判決)。②景品は直接に販売に用いられないものの、依然として市場に流通するので、受贈者又は他の受領者のその出所に対する誤解を招きかねない。

上記の纏めとして、自社ロゴを他社の市販商品につける場合は、以下のポイントに注意したほうがよい。

(1)市販商品の外観を変更せず、表示内容を隠さないこと。

(2)自社ロゴの表示方法に注意する。「〇〇会社〇〇周年記念」などの説明内容を追加することが望ましい。その場合、市販商品の本来のロゴや登録商標と同様に目立つところにつけたり、又はその一部を隠したり、消したりしてはならない。

(3)製品が市場に流通した後、出所に対する消費者の誤解を引き起こさないために、生産者、販売者の情報を明確に示すものとし、隠したり、消したりしてはならない。

立法動向

『個人情報保護法』は 2021 年 11 月 1 日より施行

10 年にわたり数回の改正を経て、広範な関心を集めた『個人情報保護法』は公布され、2021 年 11 月 1 日より施行される。

個人情報保護を規範化する専門法律である『個人情報保護法』は、個人情報の保護について全面的かつ統一的な規定を行った。一部の規定に不明確なところがあり、下位規則によって明確にする必要であるが、その立法背景や近年個別案件の多発からみて、法的リスクを低減するために、企業は当該法律を理解した上で、全面的に自己検査に着手すべきである。

以下は主に『個人情報保護法』における個人情報の越境移転を分析する。

個人情報の越境移転は個人情報を提供する者(以下「提供者」という)と個人情報の提供を受ける者(以下「受領者」という)の2つの主体に係わる。実務において、通常、提供者は受領者の中国国内における関連会社である。

まず、提供者は海外へ個人情報を提供する前提条件を満たしているか否か、越境移転が禁止されるか否かなど、個人情報越境移転の手続きに注意を払うべきである。

必須条件(択一)(第38条)

国家サイバー情報部門の規定に基づき、専門機構による個人情報保護認証を行うこと。(択一) (第 38 条)

•海外の受領者との間に、国家サイバー情報部門が制定する基準契約書を締結すること。

•重要情報インフラの運営者及び国家サイバー情報部門が定める数量に達した個人情報取扱者は、海外に提供する必要がある場合、国家サイバー情報部門が主催するセキュリティ評価に合格しなければならない(法律、行政法規、国家サイバー情報部門の規定によりセキュリティ評価を実施しなくてもよい場合を除く)。

越境が禁止される状況(第 41~43 条)

•主管機関の許可を得ずに、外国の関連司法、法律執行機構に国内の個人情報を提供してはいけない。

•前述の『個人情報保護法』第 42 条に基づき、マイナスリストに組み入れられた海外主体。

•個人情報保護において、中国が対等な制限措置を講じる国家と地区。

個人情報越境の手続(第 39、55、 56、38 条)

•通知+個人の単独同意の取得

※通知事項:海外受領者の名称又は氏名、連絡先、取扱目的、取扱方法、個人情報の種類、及び個人が海外受領者に対して本法の権利を行使する方式及びプロセスなど。
•事前に個人情報保護の影響評価を行い、実施状況を記録する。評価報告と実施状況の記録は少なくとも 3 年間保管しなければならない。

※個人情報の影響評価は以下の内容が含まれる。
①個人情報を取り扱う目的、方式等は合法性、正当性、必要性があるか否か。
②個人の権益に対する影響及びリスク
③保護措置は合法かつ有効で、リスクの程度に適応するか否か


•必要な措置を講じ、海外の取扱活動が個人情報保護の基準を満たすことを保障する。

次に、『個人情報保護法』第 3 条によると、海外で発生する以下の行為も拘束を受ける。(1)中国国内の自然人に対して製品やサービスを提供する目的とする行為。(2)中国国内の自然人の行動を分析、評価する行為。従って、受領者が中国国内からの個人情報を取り扱い場合も本法による規制を受ける。

受領者に対する規制は、主に以下の二つの方面に反映される。

(1)義務。『個人情報保護法』第 53 条によると、海外の受領者は中華人民共和国国内で専門機関設立する又は代表者を指名し、個人情報保護の関連事務を担当させ、関連機関の名称又は代表者の氏名、連絡方法などを個人情報保護の職責を履行する部門に報告しなければならない。

(2)責任。『個人情報保護法』第 42 条によると、海外の組織、個人が中華人民共和国公民の個人情報の権利を侵害し、又は中華人民共和国の国家安全、公共の利益を危害する個人情報取扱活動を行う場合は、国家サイバー情報部門は当該海外の組織、個人を個人情報提供マイナスリストに追加し、公告を行い、かつ個人情報の提供を制限又は禁止する等の措置を講じる。

上述の規定は「ロング・アーム管轄」に触れるか否かについての議論があり、具体的に如何に執行するかについても不明確な部分があるものの、立法の主旨からみれば、恐らく国内関連企業の第 38 条に基づく義務の違反(注:「必要な措置を講じ、海外での取扱活動が個人情報保護の基準を満たせるよう保障する」)を理由に、国内関連企業に対して措置を講じることにより、間接的に海外の主体を規制する目的を果たすと推測する。


弁護士紹介

金燕娟 弁護士/パートナー

8年以上の日系企業での勤務経験を持ち、日系企業の文化、経営管理上の普遍的問題点などについて深い理解を持つ。業務執行においては、それぞれの会社の実情に合わせ、問題となる根本的な原因を見つけ、相応の解決策を導き出すことが得意で、顧客中心リーガルサービスの提供が出来る様、日々取り組んでいる。

その他にも、長年にわたるビジネス実務経験と弁護士業務経験を生かし複雑なビジネス交渉などにおいても特有の技能と優位性を示している。

学歴:華東政法大学出身、民商法学修士号取得。

使用言語:中国語、日本語

主な取扱分野:会社運営の日常業務。複数の業種の企業の法律顧問を長年に渡り、務め、人事、リスク管理などを含む総合的リーガルサービスを提供している。知的財産権分野。企業の法律顧問を長年務めるとともに、営業秘密、特許、商標などに関連する訴訟、非訴訟業務に従事し、特に営業秘密の管理体系及び個別案件の処理については幅広い知識と豊かな実務経験を持っている。
不正競争防止分野。主に「ブランドのタダ乗り」、虚偽宣伝を含む知的財産権に関連する不正競争案件、知的財産権侵害と不正競争との複合紛争案件を処理し、個別案件の実情に基づいた有効な解決策の提示を得意としている

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